夏・馬産地だより 秋を待つ注目馬たち

ローズキングダム

チャンピオンの誇りが、最後の力を振り絞らせた。すべてのホースマンの憧れであり、目標のダービー。2007年生まれのサラブレッド7611頭(持込馬、輸入された外国産馬含む)の頂点を目指して、前年の2歳チャンピオン、ローズキングダムは残り200mのハロン棒の手前で一度は先頭に踊り出た。その後、インからエイシンフラッシュに交わされたあとも、諦めずにゴールまで1歩づつ差を詰めた。

2着。しかし、その2着は、かつて“薔薇一族”がGIレースの舞台で幾度となく跳ね返された2着とはまったく中身の異なるものだった。

悔しさがないわけない。しかし、3歳になって急落した評価、レースの当週にザ石を発症したことなどを考えれば、胸を張れる2着だった。

レースのあと、山元トレセン経由でノーザンファームへと移動したローズキングダムは、ほとんど休む間もなく調教を積まれている。「ザ石した右前脚の蹄は気にする素振りもりませんでした。馬体的にも、とくに疲れたような様子もないことから、すぐに周回コースと坂路コースを併用して乗り込みをはじめました」とノーザンファームの林宏樹厩舎長。その言葉どおりに、順調そのものだ。

8月中旬現在、周回コースでキャンター2000m、屋内坂路コースでハロン16秒のキャンターを1本という調教メニューをベースに、週2度ほど坂路で追いきりをかけられている。この日も周回コースでキャンターを乗られたあと、林厩舎長を背に勢いよく坂路を駆け上がってきた。「2歳の頃から走ることに真面目な馬でした。乗り手を選ぶこともないし、従順です」という言葉どおりに最後までしっかりした足取りで、人馬一体をアピールしていた。

「8月下旬の入厩が決まり、早い時計を出すようになってから気合が乗ってきましたね」とここまでは順調そのもの。「やっぱり、やはりGIを勝つような馬は頭もいいし、仕上げやすい。大きな馬ではないけど、馬体のコントロールもしやすい」と手放しで褒め称える。「春シーズンは2歳チャンピオンとして恥ずかしくない競馬をしてくれたと思いますが、悔しさも残ります。秋は、その雪辱を果たして欲しいですね」と期待する。

取材当時の馬体重は458キロ。ダービーから20キロ近く増えた計算になり、充実の夏休みだったことがうかがえる。その後、9月26日の神戸新聞杯を目指して、8月24日にノーザンファームを出発し、山元トレセンを経由して、26日には栗東の橋口厩舎に到着した。いよいよ実戦モードへと突入だ。

この秋は逞しさをましたローズキングダムに会えそうだ

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