夏・馬産地だより 秋を待つ注目馬たち

ケイアイガーベラ

冬。南東の夜空に輝いているのがこいぬ座のプロキオン。あまりに有名なオリオンの三つ星を左下にたどると夜空では最も明るいシリウスがあり、天の川をまたぐようにそのやや左上で輝いているのがプロキオンだ。冬の大三角形を形成する星のひとつで、ギリシャ神話では勇者オリオンの猟犬の1頭と描かれている。

そのプロキオンから名前をもらったプロキオンSはまた、ダート短距離界における出世レースとしても知られている。1997年優勝のバトルラインは、ここで初重賞勝ちを記録してダートの一流馬へと登りつめ、2000年優勝のゴールドティアラは同年秋のマイルチャンピオンシップ南部杯を制し、2001年のブロードアピールは同年のJBCスプリント2着に。また、2002、2003年を連覇したスターリングローズはJBCスプリントを、そして2005年優勝のブルーコンコルド、2006年優勝のメイショウバトラーはここをステップに大きく飛躍した。

2010年。デビュー以来一度も負けたことのないナムラタイタンとダートの短距離に限れば7戦6勝2着1回というサマーウインドの一騎打ちムードを尻目に、レコードタイムで逃げ切ったのがケイアイガーベラだ。父は2004年に無敗の米国2冠馬となったスマーティジョーンズ。父ゆずりの快速を遺憾なく発揮した逃走劇だった。レースの後は滋賀県のグリーンウッド・トレーニング甲南馬事公苑で調整されている。

「プロキオンステークス優勝のあと、ここに来ました。8月16日に盛岡競馬場で行われたクラスターCへの出走も検討されたほどですから、使って使えないことはないですが、無理をすることもないので、リフレッシュ放牧ですね」と加藤幸成場長。「この馬は調子の良し悪しがとてもわかりやすい馬なんです。調子の良いときは牡馬のように筋骨隆々ですから、絶好調時に比べると、やや落ちる印象ですね」と現状を説明してくれた。

現在は1周1000mのニューポリトラックコースでキャンター2000m。無理をせずに軽めに調整にとどめられている。

「馬も若いときは馬房を蹴ったりすることがありましたが、精神面のコントロールが出来るタイプでそれに伴い成績も上がってきたようです。もともと期待の大きかった馬ですから」とサラリ。夏場に無理をしなかったことが、秋への飛躍につながると期待している。

ガーベラの花言葉は「希望」「常に前進」「辛抱強さ」「神秘」などという。 秋初戦はナムラタイタンも出走を予定しているという4回阪神競馬4日目のエニフSを予定。そこではさらに前進した神秘的な強さを見せてくれることを期待したい。

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