夏・馬産地だより 秋を待つ注目馬たち

ショウワモダン

これが“昭和の男”の底力なのだろうか。2010年春、6歳になったショウワモダンはまるで馬が変わったかのような成長を遂げてGIウイナーにまでのぼりつめた。

「目立たぬように、はしゃがぬように。似合わぬことは無理をせず」(作詞・阿久悠 作曲・森田公一 唄・河島英五「時代おくれ」より)。ゆっくりと、しかし確実に力をつけたショウワモダン。近年まれにみる、ぴったりはまったネーミングだ。

5代血統表には昭和のチャンピオンサイアー、テスコボーイの名前が見える、ネヴァービート、ノーザンテーストもそうだ。また昭和の天皇賞馬サクラユタカオーや昭和のオークス馬シャダイアイバーもいる。エアジハードの血統表は昭和の香りに満ちている。また、ショウワモダンの母系には昭和の競馬を盛り上げたアスワンがいる。アスワンの代表産駒メジロアルダンは、昭和最後のダービー2着馬。そして、ショウワモダンの母の父に入るトニービンは昭和最後のジャパンカップに出走した馬だ。そんな血統背景を持つショウワモダンは、近代育成牧場の代名詞ともいえる屋根付き坂路を持たない社台ファームで生産、育成された馬だ。

「屋根をつけないのは社台ファームの方針です。とくに困ることはありません」と言い「エアジハードの産駒って、晩成型が多いんですよ。今年に入ってから充実期に入った印象があったので、この春は大きな仕事をやってくれるんじゃないかなってそう思ってました」と会心の表情を見せてくれたのは社台ファームの東調教主任だ。社台ファームは昨年のチャンピオンブリーダーでもあり、今年はオークスとダービーの双方を制している。3週連続のGI制覇を目指して安田記念は5頭を出走させていた。

「リーチザクラウンが人気になっていましたが、人気ほどの差はないと思ってました。ショウワモダンの父エアジハードも、祖父のサクラユタカオーも古馬になってからGIレースを勝ちましたので、続くことができて嬉しいです」と笑顔を見せた。

同馬は、安田記念のあとすぐに社台ファームに戻ってきた。一部には海外遠征などのプランも持ち上がっているようだが、まずは毎日王冠を目標にしている。

「まだ目標とするレースが先ですので、今の段階ではテンションがあがり過ぎないようにキープすることだけです。馬は安田記念のあとも元気一杯ですね。現在は深いダートコースで負荷をかけながらみっちりと鍛えています」という。秋はマイルチャンピオンシップが最大目標で、天皇賞(秋)も視野にいれるという。マイルチャンピオンシップなら父仔制覇。天皇賞(秋)制覇なら祖父・孫制覇という極めて珍しい記録になる。この秋はショウワモダンから目が離せない。

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