夏休みを終えるとガラリと雰囲気を変えて2学期を迎える同級生が1人や2人はいたものだ。冬でも半袖のユニフォームに身を包むサッカーJリーグの播戸竜二選手(セレッソ大阪)に由来する名前のせいか、ハリキリボーイを思わせるハンソデバンドも春とはまったく異なるシーンを披露できるかもしれない。
「この馬はデビュー前からお預かりしていました。ヤンチャな馬で初期馴致には苦労した覚えがありますが、賢い馬ですから納得したあとは楽でしたね。それでも、こうして重賞を勝って帰ってきてくれたのですから感無量です」とは、同馬の育成も担当したファンタストクラブの広報担当の米田喜彦さんだ。
「ダービーのあと6月3日に戻ってきたのですが、やはりそのときは相当に疲れていました」という。3戦目に未勝利戦を勝ちあがったあと、オープンのジュニアCを快勝したハンソデバンドは、共同通信杯ではダノンシャンティ、アリゼオの追い込みを封じて重賞初V。この1戦は、2着のダノンシャンティにも携わっていたファンタストクラブにとっては育成馬による重賞のワン・ツー・フィニッシュとなった。ところが、前年秋のデビューから5戦。激戦が続いた反動か道悪の皐月賞は先行したものの最下位にやぶれ、ダービーはタイミングがあわないままゲートが開いて、最後までリズムを取り戻せずに敗れてしまった。
「この夏は、いわゆるオーバーホールです。走る馬だということはわかっていますので、鍛えると言うよりも悪いところを全部出して、完全にリフレッシュさせた状態で送り出したいですね」と秋への目標を口にした。
現在は、体調も上向きでファンタストクラブの坂路で軽く乗り込まれている。「秋はダート路線という話もあるようですよ」とそっと耳打ちしてくれた。「祖母がウッドマンの妹という血統もそうですが、厩舎では稽古の動きなんかから相当に手応えを感じているようです」という。
バーディバーディ、マカニビスティー、マグニフィカ、トーセンアレス…。ダートの強豪ひしめく現3歳世代だが、芝でダノンシャンティをやぶったハンソデバンドの参戦で3歳ダート馬代表のポジション争いはさらに熾烈なものになりそうだ。