夏・馬産地だより 秋を待つ注目馬たち

スリーアベニュー

頑ななまでに自分のカテゴリーを守り続けるダート短距離界のスペシャリスト。それがスリーアベニューだ。

36戦して6勝2着9回3着2回。馬券に絡んだすべてをダートの短距離で記録した。そして2007年のガーネットS優勝はじめ、そのほとんどを寒い季節に記録している。逆にいえば8歳になる今年も含めていまだ8月に出走したことはなく、7月も2度ほど出走したが大敗と競走中止の憂き目にあっている。寒い季節が大好きだ。

「とにかく夏に弱いんです。ちょっと運動しただけで息はあがるし、皮膚も乾いて、カサカサになってしまいます」と現状を報告してくれたのは三重県員弁郡にある三重ホーストレーニングセンターの伊藤場長だ。遠くには御在所岳につながる鈴鹿山系の山々をのぞめる同センターでは中央、地方の競走馬が育成、そして休養と再調整などを目的として日々を過ごしている。

今年も6月の天王山S9着のあとは同トレーニングセンターで休養に入っている。 「スリーアベニューは、2歳の夏からここを利用してもらっています。夏に弱いことを除けば素直で扱い易い馬ですよ。牝馬を見ても気にしないし、あまり余計なことをしない馬ですね」とスタッフにかわいがられている。だから、「昨年暮れに蹄を傷めてしまったので、この冬は不完全燃焼でしたね」とちょっと残念そうだ。

現在、傷めた蹄は回復したが、猛暑ということもあって同センターの600m馬場を3週。ごく軽めの運動にとどめられている。 「今年はとくに暑いから可哀想ですが、少しずつでも涼しくなれば調子をあげてくれると思います。8歳馬ですけど、長い休養もありましたし、夏場休んでいる分、それほど数を使ってないので身体は若々しいですよ」と伊藤場長。

ダートの短距離レースで見せる確実な末脚は、もはや名人芸の域ともいえるもの。レースを盛り上げるうえでは不可欠だ。今年も暑さが和らぐ頃には元気な姿を見せてくれることだろう。

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