夏・馬産地だより 秋を待つ注目馬たち

サンディエゴシチー

昨年の札幌競馬で颯爽とデビューした天才少年、それがサンディエゴシチーだ。映画「トップガン」の舞台にもなった米国カリフォルニア州の港町から名前をもらった黒鹿毛馬は、新馬、特別そして重賞の札幌2歳Sと3連勝して一躍スターダムにのし上がった。500キロにならんとする雄大な馬格。父は晩成のステイヤー血統、マンハッタンカフェ。曽祖母のジャンヌジョーンズは米国のGTウイナーで、母系にはラーイ、ミスタープロスペクター、ニジンスキーと一流種牡馬がズラリと居並ぶ。決して早熟ではない。

「新馬戦を勝ったあとに、お預かりしたのが最初です」とサンディエゴシチーとの出会いを話してくれたのはファンタストクラブ広報の米田喜彦さん。ここは北の玄関口といわれる新千歳空港から車で約1時間。総面積168ヘクタール。英国のニューマーケットを範した広大な芝コースと、全長1400mのウッドチップ坂路コースや屋根付き坂路、1周900mのダートトラックコースなどを併せ持ち、あらゆるトレーニングに対応できる育成施設だ。

「レースのあと、ちょっと体が細くなってしまったのでふっくらとさせた状態で送り出しました」という言葉どおりにプラス24キロで出走した同馬はクローバー賞を楽勝し、そして札幌2歳Sも快勝。良質な血統馬でもあり、期待は膨らんだが、クラシックの声が近づいてくると同時にサンディエゴシチーの輝きは失われていった。

「その頃は、爪が悪かったんですよ。ダービーのあと、思いきって悪かった部分を切除しました」と現状を説明してくれた。現在は、その体をキープしながら爪を再生させることを目的としている。「最悪だったスプリングS、皐月賞からダービーまでの間に厩舎では相当な努力をしたのだと思います。そうでなければあがり33秒0で8着まで追い込むことはできません。あれで、この馬の能力を再認識しました」と

「爪以外は、本当によい状態です。その爪も完治まであと1歩のところまで来ています」と復活を誓う。現在は爪の状態を見ながら同クラブの坂路を駆け上がっている。

「最終的には厩舎と馬主さんが決めることですが、秋はどこからでも使い出せるように準備をするのが私たちの仕事です。春とは違ったサンディエゴシチーをお見せしたいですね」と期待している。

前のページに戻る

Copyright c 2008 JRA SYSTEM SERVICE CO.,LTD All rights reserved.